大人のアトピーは「完治するのか」よりも「受容できるか」が重要、経験者は語ります。

 いきなりアトピーが悪化したときの絶望感は筆舌に尽くしがたいものがあります。しかし身体が辛いのは当たり前なのですがじわじわとメンタルも削られます。アトピーは身体的な疾患であるんですが心の部分もとても重要な疾患だと私は思います。

1.アトピーにうんざりすると悪化した

 私はアトピーになってから30年余りで2回だけ重症になっています。そして1回目の重症化は高校生の時に脱ステロイドをしてしまった時。2回めの重症化は社会人になり仕事や環境面でのストレスを抱えたときでした。

 1回目のアトピーの悪化の根底にはアトピーへの絶望感や医療への不信感がありました。普通に治療をして症状をコントロールすることも可能だったのですがその時はそうした判断ができなかったです。藁にもすがる思いでアトピーを治したかった。

①高校生の時にアトピーが悪化したのは治療への不信感が原因
 アトピー患者であれば絶対とはいえないですが感じることがよくあるのは
・治療が面倒くさくなる
・ステロイドの効果に対する猜疑心
・皮膚科の医療に対する不信感
などがあるのではないかと思います。アトピーであることを認めることができない状態です。私は高校生くらいのときに
「何故自分はアトピーで辛い思いをしてさらに面倒くさい治療を続けないといけないんだろうか」
とか考えていました。そしてネットで探した情報を元にして私の場合にはこれで脱ステロイドを試みました(笑)自分がアトピーでないことを証明するために脱ステロイドをしてしまった感じですね。何故か2年位でアトピーの症状は治まりました。

②西洋医学じゃ完治しないからって手を出した民間療法
 アトピービジネスには乗せられたら負けです。弱さに漬け込んでえげつない商売をしています。どこそこのすげー高い天然水を飲むと治るとか、謎のすげー高い天然素材の軟膏を塗ると治るとかそんなやつ。まあ乗せられました。

 調子が悪いときにはそんなものにもすがりたくなるので凄い調べました。○○パワーみたいな軟膏を買ったりしましたがまあ効果はありませんでしたね。お金のムダを私もしたことがあります。

 天然素材を使った非ステロイド軟膏にはステロイドが入っていたというニュースが昔ありましたね!そりゃ一時的に良くなるわ!不思議な力じゃ人間の皮膚に起きている炎症を鎮めることはできません。時間と機会損失以外は失わない脱ステロイドのほうが良心的といえます。

2.治療によって永久にアトピーが再発せずに完治するというのは実はかなり難しい

 小児アトピーの人は大人になるにつれてアトピーの症状が出なくなる場合が多いと思います。症状がでなくなったらその後絶対にアトピーが再発しないかというとそうではないです。あくまで私や周囲のアトピーの人の話レベルですが。

 また現在のアトピーの治療では軽症の方は治る場合もあるのですが症状が重い人の場合にはなかなか治るということは難しいとされています。そのため一生付き合っていくことになる可能性があるということです。

 アトピーに限らず慢性疾患というのは一生付き合っていくことを求められます。私はこのことを医者はこれをさらっと一言で説明されて終わった記憶があります。患者からしてみればたかがアトピーとは言え重いです。

3.生活をするためにはアトピーを受容するかなかったない

 慢性疾患というとなんか重そうな雰囲気がしますがアトピーはまさに慢性疾患です。そして対症療法しか今のところないので軽症の人はともかく重傷の人が完治をする可能性は低いでしょう。

高校生の時にアトピーがはじめて悪化したときは
「何でこんなことに」
「アトピーの良いところは死なないことだけどアトピーの悪いところは死なないのに夜もねれないほど苦しいこと」
とか考えていました。本当に絶望していましたね。悪化すると夜もろくに眠れないくらい苦しくて本当に日常生活をまともに送れなくなります。学校や受験などの人生のイベントもすべてアトピーの状況に支配されるので本当に辛いかったです。当時は自分がアトピーであることを呪っていました。

「努力はアトピーに打ち砕かれるから何をしても無駄」

とさえ考えてけっこう無気力でした(笑)。大学はサークルもゼミもやらなかったしね。とはいえずっと人間は無気力ではいられないようで数年かけてアトピーに生活を支配されちゃ駄目だなと考えるようになりなんとか大学は卒業して就職しました。

 そして社会人にって数年たち2度めの悪化が起きたのですが、1回目のときのような絶望感はなかったです。仕事も辞めて治療にすぐ専念する切り替えができました。ストレスから離れて病院に行って強い薬をもらって症状を押さえました。完治はしていませんが普通に生活は遅れています。

 そしてアトピーに絶望して何もできなくなった最初に悪化した時とは違い、あえて進学するというチャレンジすらできました。たぶんアトピーで生活が激変する可能性を受容できていたんでしょう。

 気がついたら「仕方がないから上手く付き合っていくしかない」と考えていました。半分諦め、半分前向きな感じでアトピーを受け入れて無難に治療をしていこうと思うようにしています。

「まあ、しょうがないか」

という境地に今は達していてアトピーを受容できていると思います。現状の私は塗り薬や保湿などの治療や定期的な通院をしておりアトピーは治っていません。しかし脱ステロイドをしてしまったときと比べるとアトピーを気にしなくなりました。アトピーにうんざりすることもなくなりました。

4.最後に

 こうした心の変化は病気の受容の過程と結果であるとおもいます。こうした慢性疾患の受容というのはけっこう研究されているようです。「慢性疾患を抱える人の病の受容プロセス 青年期の患者に焦点を当てて」という論文で研究に協力している患者の1人がアトピー性皮膚炎のようです。同じ病に悩むものとして一度読んでみるのもいいかと思います。わりと受容過程は似たり寄ったりのところはあると思います
昭和大学学術業績リポジトリ「慢性疾患を抱える人の病の受容プロセス 青年期の患者に焦点を当てて」

もしまだアトピーであることを受容できていなくてもその内受容できる日が来ると思います。ゆっくりと自分の体に向かい合うしかないです、きっと。私が考えるいちばん重要なことは民間療法に手を出さないことです。

関連記事
アトピーで脱ステロイドをして10年以上経った。結局ステロイドを使うことになったYO

スポンサーリンク
レクタングル大
レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする