何故東芝は4999億の赤字を出したにもかかわらず上場廃止にならないのか

 2期連続で途方もない赤字をたたき出した東芝ですが何故今回の騒動でも上場廃止にならなかったのでしょうか。しかしただ債務超過になっただけでは上場廃止されるわけではないのです。そんな東証の上場廃止基準と東芝についてです。

1.今回の東芝のどこがまずかったのか

 東証はどのように上場廃止を決定していくのでしょうか。それは東証の上場廃止基準にのっとって株式の上場の可否を判定していきます。これは今回の東芝の件も例外ではなく上場廃止基準によって処理されていくと考えられます。一部報道で言われている東芝の債務超過と言われています。今回の東芝はどのような上場廃止基準に触れている可能性があるのでしょうか。
考えられるのがこれです。

債務超過
債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)
引用(上場廃止基準 | 日本取引所グループ)

 おそらく東芝が期末の決算発表時に債務超過に陥っていた場合にはこれが適応されるのではないかと思います。このことから債務超過に陥ってから1年以内の猶予期間が設けられているののです。債務超過になることは東証から退場を命じられる前のイエローカードのようなものですね。つまり1年以内に債務超過化から脱却することで東芝は上場を維持することが可能になるということを示しています。

2.東芝の抱えているもう一つのリスク

東芝はこれだけではなくもう上場廃止になる恐れのある1つイエローカードを貰っています。それが特設注意市場銘柄等によるものです。

特設注意市場銘柄等
a.特設注意市場銘柄の指定要件に該当するにもかかわらず、内部管理体制等について改善の見込みがないと当取引所が認める場合
又は
b.特設注意市場銘柄に指定されている間に、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合
又は
c.特設注意市場銘柄に指定されたにもかかわらず、内部管理体制等について改善がなされなかったと当取引所が認める場合
引用(上場廃止基準 | 日本取引所グループ)

特設注意市場銘柄は2016年12月19日現在で継続が発表されておりこちらもまだ予断を許さない状態が続いています。また東芝に関しては延長にあたり

なお、当該指定から1年6か月を経過した日(2017年3月15日)以後に、同社から再提出される内部管理体制確認書の内容等を確認し、内部管理体制等について改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となります。
引用(日本取引所グループ)

と発表されています。つまり特設注意市場銘柄に指定されたことによる上場廃止基準はまだ生きているということになります。債務超過に引き続き今年の3月は東芝にとってもう一つの山場が残されているということになります。

3.まとめ

 以前の有価証券報告書等の提出遅延により特設注意市場銘柄に指定されている東芝はイエローカードを貰っています。今回のもし債務超過に陥っていた場合にはもう一枚イエローカードを貰うことになります。サッカーと同じで警告を受けただけでは即退場ということにはなりません。しかしまだ予断を許さない状態が東芝には続いているのでこれからの東芝の動向がどうなるか楽しみですね。

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