ソニーやパナが有機ELのテレビに再参入した。パネルはLGか

  ソニーが「A1シリーズ」を2017年6月10日発売に発売することが決まりました。ソニーが有機ELのテレビに再参入ですね。価格面や技術面での優位性はあるのでしょうか?

1.日本のメーカーは有機ELのパネルは内製することが出来ない

①パネルは自社製ではなく外部調達
 このサイズの有機ELのパネルを作れる日本のメーカーは今のところ存在していません。そのため日本のメーカーのものではないでしょう。そして唯一有機ELのテレビを販売し量産化に成功しているのがLGです。そのためパネルの供給元は韓国のLGと見て間違いないのではないでしょうか(公式にはパネルの製造元は発表されてないです)。

②有機ELパネルの外部調達は悪いことではない
 私は今さら有機ELの製造技術を確立する必要はないと思っています。先駆者としてパネルを製造できていればメリットは間違いなくあったでしょう。しかし今更テレビ向け有機ELの製造技術に多額のお金をつぎ込み技術を確立してもその優位性を活かすことは難しいと考えられます。。

 また有機ELの技術もいずれコモディティ化すると考えられるので、周回遅れで技術を確立し工場を今更作ることは非常にリスクが高いでしょう。過去に液晶パネルを内製して自爆したシャープやパナソニック等の二の舞いになることを避けるのは難しいと考えられます。

 シャープは液晶パネルを内製していましたが画質に関しての優位性はぶっちゃけなかったと思います。価格競争に巻き込まれ自滅しましたしね。そのためパネルはLGでもサムスンでもまったく問題はなく、しっかりとパネルを調達して販売にこぎつけたことは素晴らしいことです。

③最終製品をより高い品質で作れるかが重要
 例えばappleはハードウェアの会社ですね。自社しか作れない魅力的な製品を作ることで他者にない付加価値を作っています。魅力の大部分はソフトウェアにあり、そのオリジナリティがappleの優位性になっていますね。
 
 一方でハードウェア設計は製造は委託しているファブレスで他の端末あまり性能に変わりはないですがとにかく売れています。ハードウェアの性能はは最終的には横並びの状態になるのです。

2.ソニーの有機EL4kテレビは控えめな価格設定

 ソニーの「A1シリーズ」の価格はどれくらいなのでしょうか?ちょっと確認してみましょう(2017年5月9日時点)。
 予約を受け付けているソニーストアで価格を確認すると
・55型の「KJ-55A1」が499,880 円+税
・65型の「KJ-65A1」が799,880 円+税
となかなか強気の価格設定です。マジで高い!

恐らく同じパネルを使っているであろうLG製はどうかと言えば。
ビックカメラの価格だと
・55型の「OLED55C7P」が449,880 円 (税抜)+10%ポイント
・65型の「OLED65C7P」が649,880 円 (税抜)+10%ポイント
Amazonだと

どうも思ったよりも価格差がないですね。ソニーストアはサポートが手厚い代わりにちょっとお高いのです。ソニー側も発売されれば多少の値段の下落はあると思われるのでソニーもなかなか頑張ったと言っても過言でないです。これなら値段でソニーが不利になることはないですね。

3.A1シリーズは何か違いを生み出せたか

このテレビのキャッチコピーは

一瞬で引き込まれる、漆黒の美と、そのたたずまいから生まれる音。ソニー発、4K有機ELテレビ
引用:A1シリーズHP

です。

①ソニーらしさがない
 テレビとスマホを一緒くたに考えるのは浅薄ですが、テレビにおいてもハードで差が出ない以上ソフトで魅力を作らなくてはいけません。「A1シリーズ」は音がいい・ソニーの映像処理・有機ELの美しい画質がストロングポイントとしています。

 しかし、例えば「漆黒の黒」は有機ELの特徴ですね。LGを買ってもソニーを買ってもパネルは結局一緒です。そのため有機ELならば全て「漆黒の黒」です。音が売りのようですがこういうのを買う人は外部スピーカーを買う人が多いでしょう。また他者も同様に努力をしているところでありあまり魅力的には見えません。

 大変残念なのですがソニーでないと作ることが出来ない付加価値がないんです。有機ELで4Kのテレビの1つでしかないと感じます。何かソニーらしさが出てくるといいですね。

②消去法でソニーになりそうな予感
 恐らくLGじゃなんか嫌だから消去法でソニーという感じになるのではないでしょうか?そんな感じでは売れると思います。しかしソニーのテレビだからこれができると言うものを作り出さないと日本以外では売れないでしょう。もうテレビで違いを生み出すことは難しいんでしょうね……。頑張れソニー!

4.このテレビの悲しい所

 4kの有機ELという最高峰の性能を誇っているテレビですが能力を活かすことがなかなか難しいところです。そして2018年から始まる「BS等4K・8K放送」には対応していないんです!対応させるためにはチューナーが必要になります。

※ 2018年から放送開始予定の「BS・110度CSによる4K・8K放送」を受信する機能は搭載していません。放送を楽しむには、今後発売される別売のチューナーが必要です
引用:A1シリーズHP

とは言っても総務省でそういった発表をされているのでソニーの問題ではないのですがなんとかならなかったのかとちょっと思ってしまいます。とは言え今販売されている4Kテレビのすべてが持っている問題なのでどうしようもないんでしょうね。
参考:総務省「現在市販されている4Kテレビ・4K対応テレビによるBS等4K・8K放送の視聴に関するお知らせ」

関連記事
【時期じゃない】2018年まで4Kテレビが買い替え時でない大きな理由
日本で有機ELを開発しているのはJOLEDという会社

スポンサーリンク
レクタングル大
レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする